第40章 ト短調 あなたは……?
私の前にいるのは子供の頃の私。
泣いていた。ひたすら泣いていた。
何があったの?と聞きたいが、理由は知っている。
当主争いだ。
私の父親は、穢れた血(華山家と草山家の人間のものではない血のこと)の持ち主で、養子を連れてきた。
養子たちは、ここの家の秘密を知るとすぐに当主争いに入った。
小さい時からいじめられていた私は、いつも泣いていた。
妹は、母親の叔父に預けられていて幸せだったと思う。
『あーんあーん』
子供の私はずっと泣いていた。
私が頭を撫でようとしても通り抜ける。
そっか……これは夢か……
私は、何もできなかった。