第32章 ニ長調 琴対決
「では、次は奏耶様の番ですね。」
「ええ。音姫として立派な曲を弾きましょう。」
と言って、奏耶さんが琴に手を添える。
この時、奏耶さんがクスリと笑った。
え?
パチン
ピン!
パチン
ピン!!
その時、
風が来たように感じた。
心地よい。
快晴すぎて、言葉に表せない。
さすが、音姫だ。
私の曲に比べて遥か上だ。
パチンパチンパチン
ぴぴぴん!!
「題名は『翼』です。」
みんな、言葉が発せなかった。
上手すぎて何に例えれば良いのか分からなかった。
私の心は、まだ曲の中にいる。
空を飛んでいるように、涼しくて広くて快い。