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ヤンデレヴィクトル氏による幸せ身代わり計画【完結済】

第5章 関係が変わる話


ーーーやっぱりこの人、僕に似てる…。

勇利は初めて彼女を見た日から自身に似ている事に気づいていた。

お互い椅子に座り、勇利の注文を待ってから、桜は自身の話を周りに理解出来ないように小声で、さらに日本語で切り出した。


「私の話をする前に一つだけ確認させてください。勝生選手はヴィクトルさんの事、恋愛感情で好いてらっしゃいますか?」

「え?それは無いです。僕男だし、この国ではそういうのって嫌われてるじゃないですか」

「性別関係なく、本当に好きじゃないですか?ヴィクトルさんがあなたを好きだと言っても?」

「…確かにヴィクトルは男の僕からしても魅力的にはうつるけど、そういう関係は考えられないし、僕は女性が好きなので、もし彼にそんなこと言われても困ります」


もしも勇利が好きなら2人は両思いで自分の入る好きなど微塵も無いのだと諦められたのに、返ってきた言葉は桜を落ち込ませるそれだった。

「実は、あ、これを聞いてもヴィクトルさんの事避けたりしないでいただきたいんですけど…その、私実は貴方の身代わりとして、彼と体の関係を持ってたんです」

変なことを言うなと罵られるかもしれない、そんな不安を持ちながらも桜は勇利にそう話した。
しかし彼は意外な事に全く慌てることは無く、むしろ一つ頷きこう返した。

「やっぱり…多分そうだろうなって思ってました。
でも今は違うと思います。
この間、初めて貴女と会った時のヴィクトルはまるで貴女の浮気を咎める彼氏みたいに見えました。

……ちょっと前までヴィクトルは僕を好きなのかもって思うような目で僕を見てきてて、でもある時からそれは無くなったんです。
僕はその視線が無くなって凄く安心しました。
まぁでもよく考えてみると好きというより家族みたいに思われてたんだと思うんですけど」

「家族?でも、私勝生選手の名前を呼ばれてたんですよ?」

桜は勇利の話に目を丸くして、自身の持っていた認識と彼のそれが違うことにひどく戸惑った。

「僕はヴィクトルじゃないから彼がどんな気持ちで、そんなことをしていたのか分からないけど、きっと僕と離れたくないと思った感情を勘違いしたんじゃないかな?僕一度彼と離れようとして、トラウマを植え付けちゃった事があるんです」
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