爆乳政治!! 美少女グラビアイドル総理の瀬戸内海戦記☆西海篇
第1章 西海之役
周防長門を巡る陰謀劇は開戦という結果を呼び込んだ。九州鎮台に派遣されて来た、陰謀好きな東京政府の官僚団の手に乗り、屋代島(周防大島)にて吉見一太(よしみ いちた)陸軍大尉率いる部隊が住民の支持を背景に決起した事で屋代島は九州鎮台に編入された。が、想定の通りに武力行使を決断した山陰陽都督府は旅団規模の部隊を緊急派遣、親東京政府派住民ごと決起部隊を鎮圧して気勢を上げた。
全ては唐突な話だったが、東京政府の官僚団と鎮台の幕僚達が全てお膳立てした結果だった。
「まるで満洲事変(関東軍)のよう」
吉野菫首相は顛末を知り、嘆息して甚だ失望した。次第を報告に上がった首相府陸軍副官臼杵鑑純(うすき あきずみ)砲兵大尉は強張った表情で直立して主人の嘆きを聞いていた。陸軍参謀本部情報課は官僚団の策動を知りながら黙殺、加えて吉見大尉に接触し火砲数門を島に流し入れたのは陸軍の小倉(こくら)駐留混成旅団、臼杵大尉の原隊なのである。臼杵大尉は生きた心地がしなかっただろう。吉野首相は後年そう思った。臼杵大尉は後に原隊の罪科を償う為に小倉口の死闘の最前線へ出張り、「顔無し」の手に掛かった。臼杵大尉の死は首相をして陸軍の統制を断行させる、良い「口実」となったが、この時には後日の不幸を知る由もなかった。結局、角張った顔を更に強張らせた臼杵大尉はひたすら謝罪する羽目になる。
臼杵大尉を「解放」し、執務室には吉野首相と副官筆頭である蓮池夏希(はすいけ なつき)、そして在日米軍から帰化して九州鎮台の軍事・外交顧問となった来栖アルフレッド(クルスAlfred)、空軍副官の有馬晴久(ありま はるひさ)少佐、鎮台参謀本部から海兵隊に異動し首相の対陸軍政策を支える為に海兵隊副官となっている馬場資房(ばば すけふさ)が残り、軍部の後始末の方策を協議した。
「周防大島の守備隊は予想以上だ! 戦意武装ともに豊かで、易々とは行くまいよ」
来栖顧問が屋代島の地図を見ながら呻(うめ)いた。
「87式自走高射機関砲に90式戦車、か。岡山旅団の装備を見る限り、先年寝返った香川の演習部隊の装備だね。純日本製だ。それを我らのアメリカ製輸入品兵器が破壊する、と。東京の設備局連中の発狂する姿が目に見える。堪らないね」
「有馬ちゃん、自重」