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爆乳政治!! 美少女グラビアイドル総理の瀬戸内海戦記☆西海篇

第5章 悪意 中國山地


 結果的に宇喜多は秀国を「調略」し、山陰陽をまんまと寝取ったようなものである。今なお、近衛秀国からの覚えは良く、対して側近の近衛和泉と畿内軍閥の将軍である三好秀俊は彼を公私両面で嫌っていた。一応軍閥の頂点たる秀国の覚えを盾に服属後に出仕していた大坂を引き払い神戸を改めて拠点とした宇喜多はムスリムとしての立場を明確にしてモスク(mosque)建設やウラマー(ulama)の招聘等の〈利益誘導〉に注力する一方、旧出雲党の将兵や官吏達の怨みの矛先を大坂の三好達へ向けるように上手く誘導しながら、かつて共に反抗した関係性を巧みに用いて畿内軍閥が自派に取り込めないでいる彼らを山陰陽方面軍に出仕させて山陰陽における自らの影響力を高めた。

 加えて、宇喜多は反東京の意思を明確にする秀国の意向に従い、資源開発で莫大な利益を得ていた東京方の清水賢一郎の事業を妨害するために、ムスリムの多い資源国家から資源を多く輸入し、安価な輸入資源の国内流通量を増やして、出羽一揆以来の資金源の切り崩しに掛かった。畿内軍閥の実質的な宗主でもある中華ソビエト政府の有力派閥「太子党」とのコネクションを生かし、境港までの航路を中共海軍に守らせる等徹底したやり方は清水氏と彼らを軍事的に「保護」する役割を自負して来た東京政府に強い危機感を抱かせていた。

 宇喜多は更に山陰陽の「未回収地」の平定にも手を出し、周防長州地域への政軍両面の浸透を進めて行った。益々、和泉達の不興をよそに秀国の覚えめでたくなる宇喜多だったが、彼の巧みさはその出来の良さ故により一層の脅威を敵対者達に与えてしまった。

 防長にて県令を巡る血の惨劇が起きたのは、必然であった。
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