爆乳政治!! 美少女グラビアイドル総理の瀬戸内海戦記☆西海篇
第4章 九州 大宰府
籠手田泰志(こてだ やすし)陸軍機甲兵科中将と有馬治三郎(ありま じさぶろう)海軍大将。軍の柱石にして保守派の筆頭格。クーデター後に頭角を現したドイツ留学組領袖の籠手田と、同様に出世した英国留学組の指導者有馬。鎮台の軍事増強に各方面へ著しい貢献をした。千々石リカルドもそうだが、鎮台の軍人達は実直で熱心だ。しかし、政治には関わらせたくない、そういう人物達だった。
かつて、同盟者たるアメリカ軍との関係の中で、九州鎮台は崩壊仕掛けていた。反乱者を討伐した後は特に悲惨で、鎮台は各地の平定に失敗し続けた。その最中台頭したのがかつて彼ら非アメリカ留学組の中級幹部達である。反主流派であった彼らは自己矛盾の内でせめぎ合い内部崩壊したアメリカ留学組トップ達の失脚を好機として這い上がって来た、不甲斐ない先達と強敵との激戦の中で生き残り歴戦の猛者と言われて来た彼らは自分達こそ鎮台を支えて来た貢献者であるという自負が強く、反乱と崩壊の原因を作ったアメリカ留学組と、『彼らを重宝して手を噛まれた』吉野菫を内心軽んじている節(フシ)があった。特にドイツ共和国軍機甲師団で抜群の実績を得て帰国しながらも閑職に追われ、反乱平定まで這いつくばりながら生きて来た籠手田中将は吉野菫を激しく嫌っていた。籠手田だけではない。反乱者 江上護智斎慶也(えがみ ごちさい よしなり)陸軍機甲兵中佐を倒し、崩壊寸前の鎮台にて苦闘し続けた陶山を除く現役武官達は彼女を「パフォーマー」と呼んで馬鹿にしきっていた。もしくは意地汚く、こう呼んで嘲笑(わら)った。
―――――〈アイドル(偶像)〉と。