爆乳政治!! 美少女グラビアイドル総理の瀬戸内海戦記☆西海篇
第1章 西海之役
思い返すと苦々しいが、あれが全ての転機だった。
宰相の座にもたれかかり、西日の熱を背に感じながら吉野菫(よしの すみれ)はぼんやりと浮かべた。
彼女は今一人である。そして独りぼっちでもある。宰相の執務室には誰彼の姿もないが、たとえ公衆の盛り場に潜り込んだとしても彼女は孤独を味わう事になる。それは幾重にも巻き付く御用聞きや親しげな顔で甘言を弄する粗方を侍らせていても同じ事であるのがあはれに思わせるほどだ。かつてこれほどの孤独があったであろうか。アイドルとして脚光を浴び、政界に出て、華々しい立ち回りを見せた時も、彼女には身内と呼べる者があまりにも少なかったが、それにしても心通じ気の置けない者がいた。口悪く言い合い気を通じた者さえいた。しかし、それは遠く昔の事にさえ思えてくる。
気は内に抑え、周囲のおべっか使いに顔の面を厚くして一切心を許さず、最近幅を利かせている空軍の青鳥(せいちょう)閥の機嫌を窺っていた。今となっては帝国を取り仕切る有力者となった吉野は理想社会を目指し政道に邁進したが、帝国の常として国家の大黒柱を自負する軍部の機嫌を取らなければならない不愉快な事情があった。