爆乳政治!! 美少女グラビアイドル総理の瀬戸内海戦記☆西海篇
第6章 渦 ―船上―
寒川はそう言って一人笑い、決して広くない船長室の中を彼の声が占めた。
「実はね、俺も恐ろしく思うよ。これからあんた達がする事を思うとね。関わった、聞いてしまった。そう考えると震えてくる。たとえ下船後はもう俺達と関わり合いの無くなる、あんただとしてもさ。そういう人が居て、そういう事が起きる。そう思うだけでな」
「そうか。よくわからん」
男は顰めた顔のままパイプ椅子からむくりと立ち、その脚で船長室の戸へ歩いていく。
「行くのかい?」
「ああ。もう寝る。連中がいつ【気付く】かわからんしな」
男の声は低いが良く通る声だった。寒川はこの声に吼えられたくはないと常々思っている。
「明日もまた話そうじゃないか。支度は済んでいるんだろう」
寒川の陽気な声が背に掛かる。彼は壁の地図を見たままだ。
「気が向けばな。こちらも暇とは言えん」
「寂しい事を言うなあ。状況は【あんた次第で変えられる】んだからよう」
寒川はそうフシをつけて言うとまた笑った。男はふん、と鼻を鳴らした。
「お休み、船長」
男はそう言って戸に手をやった。寒川は開く直前に声を掛けて男の手を止めた。
「お休みなさい、詫摩藤十郎(たくま とうじゅうろう)君。いえ、【菊池武昌】(きくち たけあき)殿」
男は顰めを取り、少しだけ口元が綻んだようだった。
「その名はまだ早い。今はまだ詫摩だ、船長」