• テキストサイズ

爆乳政治!! 美少女グラビアイドル総理の瀬戸内海戦記☆西海篇

第6章 渦 ―船上―


 瀬戸内は列島の両岸に広がる大洋から見比べればおよそ湖の如き物であるが、温暖な気候と豊潤な資源を以て沿岸に港を多く設け、洋上の先を行き来する人々を集めて来た。その内の一つ、神戸は幕末に開港して以来、列島有数の港湾都市として主を変えながらも発展を続けていた。

 その神戸を遠目に眺める沖合、コンテナ船が1隻松山までの航路を進んでいた。コンテナには多種の荷が積まれていたが、このコンテナは訳ありの人間も積むようであった。

 積荷の一つの名は須崎優和と言う。清水港に錨(いかり)を下ろしていたコンテナ船の船長へ知己を得ていたクライアントの計らいで、快適な荷積み航海をじっくりと楽しむ事になっていた。普段は二等航海士を追い出して占拠した部屋で護衛役と共に荷積み暮らしに諧謔(かいぎゃく)を交えた感謝を述べているが、岸から離れた沖合に差し掛かると時折甲板に出て潮風を楽しんだ。日中のんびりと時を過ごし、夜は船員の部屋を訪れ、主への祈りを望む者には主の肉体と血に成り代わり聖水3リットルボトルを、渇きを訴える者には清らかな水を2リットル直接流し込み、慰めと柔肌を求める者には護衛役の鉄拳をそれぞれ授け、いつしか彼女は人々の「盲目的」な「敬愛」を集めていた。

 彼女は昼下がりには甲板に出て、海を眺める。ここ数日は護衛役を少し離して日向ぼっこを楽しんでいたが、今日は傍らに呼び付けていた。

「船暮らしって言うのも悪くないね、こうしてみるとさ」

「それはあくまで『ただ乗り』だからでしょう? 船員達はそれ程でも無いかと」

「だーかーら、その『ただ乗り』が楽しいんでしょう? 安楽の思考の足らない人ね、ホント」

 いつも纏う黒衣の修道着ではなく、白のブラウスに黒のスラックスで肌を覆い、黒のヴァンプローファーを履いている。長い艶のある髪は平静の通りの扱いで、甲板を抜ける風に揺らされやや忙(せわ)しない様をしている。

「恐れながら司祭様、教会の高位であり、加えて一介の修道者である貴方様が安楽を望み貪るのは信徒の範に相応しからぬ事かと」

「だって、ここ教会じゃないし」

「お立場は司祭として招かれております」

「あのねぇ」
/ 159ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp