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お菓子の魔女の言う事には。

第1章 お菓子の魔女のデュエルには。


「俺がとやかく言う筋合いはないが、店は大丈夫なのか」

とある日の午後。
遊作は草薙の営むホットドック屋に足を運んでいた。
キッチンカーになっているこの店は人通りに合わせて場所を色々変える。

パラパラと人は来るものの、こんな調子で生計を立てられるのか正直怪しいものがあった。

「まぁこの時間帯だしな。ホットドックよりケーキやコーヒーだろう、カフェもあるし。
そういえば、知ってるか遊作。あの向いのカフェ、スイーツが凄く美味しいって噂だぞ」

分かっているなら移動した方が良いのでは。

『お前も機会があったら行ってみたらどうだ?』なんて呑気な事を言っている草薙に内心呆れつつ、そのカフェに目をやる。
成程、確かに人が吸い込まれるように入って行く。スイーツが評判なだけあって女性や子供連れが多い。

「お前が思ってるより、ここは良い場所だからな?もう少ししたらあの店のテラス席も満席になって、入れなかった人が流れてくるんだ」
「…。そうか…」

しっかり恩恵に預かっていた。

何と言うか、そういう考え方もあるのかと妙に納得してしまった。草薙は抜け目がない。というか、そうでなければハッカーなど出来ないのだろうが。

草薙が手渡してくれたホットドックをかじっていると、先程見ていたカフェの方が何やら騒がしくなって来た。

「…?」
「…何か騒がしいな?」
「そうだな…」
「遊作、ちょっと見てきたらどうだ?」
「必要性を感じない」
「お前、もうちょっと物事に興味持とうな…?あそこのカフェの客足落ちるとこっちも痛手だ、場所も考えないといけないし。どんなもんか様子だけ見て来てくれよ」
「…。ホットドック代、って所か」

渋々、と言った様子で遊作は重い腰を上げたのだった…---。
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