第2章 お菓子の魔女の正体は。
「マジか、遊作にやられてまだそんなに経ってねぇのに、懲りねえ奴らだな!場所は…」
「あ、コレ名無しの店が借りたってスペースのアドレスだ」
「…オイ。何故知ってる」
「話せない暇つぶしに調べたんです~。…お、外部からの侵入が出来ねーようになってら…さすがイベント限定スペース」
腐ってもSOLテクノロジー社と協賛しているイベントスペース。そのセキュリティを突破して侵入とは、相手も伊達にハッカー集団を名乗っている訳では無いという事か。
「一般人が参加するにはまず店に来て下さいって事か。だが、俺や遊作なら関係なさそうだな」
「あぁ、ここから直接ログインを…」
『!? おい、ソレ無理みたいだぞ。回線が切れた…イベントスペース自体を閉鎖したみたいダ』
「何!?」
『でも回線切れる直前にまだハノイと誰かのログが残ってた。…取り残されたんじゃね?気の毒だがクラッキングドラゴンの餌食だナ…』
アイが淡々と言い終わるか終わらないかの前に、遊作はガッと乱暴にデュエルディスクを掴んでキッチンカーを飛び出した。
「遊作!気をつけろよ!」
「分かっている!」
『オイ!何する気だよ!?』
「店から直接ログインする」
ここから車移動してもらうよりは走った方がきっと早い。カフェの周りも報道やら野次馬やらできっと混雑しているはずだからだ。
ネット上で見た情報からすると、外部の回線は遮断しているが店内からのログインは恐らく出来る筈。
「運営側ならスペースを閉鎖しても、ログインできる手段を持っているはずだ」
混雑に紛れて入るのはきっと容易だ。ハノイを倒し、且つ正体を明かさないようにするにはSOLテクノロジー社のセキュリティ担当より前にログインとログアウトする必要がある。
幸い、先日のハノイが大暴れした後処理で彼らはシステム効率が悪くなったとの報道がある。挙動は遅い筈だ。