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【WJ】短編 -2-

第4章 【甘】胃袋鷲掴み大作戦/花巻貴大


「んじゃあ、俺こっちもーらい。」
「あ!ダメ!」


 失敗したトリュフが入った箱を机から取った貴くん。私の必死な抵抗も虚しく、包みを開かれ、不格好なトリュフが晒された。


「何これ?アメーバ?」
「違う!トリュフ!」


 貴くんは、嘘だろ、なんて言ってお腹を抱えて笑っていた。


「だから見られたくなかったのに!」


 貴くんは箱からトリュフを一つ手に取ると、それをそのまま口に入れた。貴くんの口からはゴリゴリと言う音がした。


「何これ超硬え!」


 中々咀嚼出来ないトリュフをケラケラと笑い乍食べる貴くん。消えてしまいたい。胃袋を鷲掴みする予定が、貴くんの永久歯を物理的に鷲掴みしてしまうトリュフ。恋愛対象として見てもらいたい一心だったのに、今日から私は妹的存在というポジションから卒業しなくてはならなくなった。
 漸く一つトリュフを噛み終えた所だったのに、貴くんはまた次のトリュフを口に入れた。


「ちょ、何やってんの!?」
「かてーし、不格好だけど食えないこちゃ無い。味はちゃんとチョコレートだし。」
「いいよ!無理して食べなくて!」
「一生懸命作ったんだろ?」
「…そうだけど。」
「んじゃあ食う。」


 そう言って貴くんは、私の作ったトリュフを全部食べてくれた。


「ごちそうさん。来年も期待してる。」


 貴くんに頭を撫でられ、思わず俯いた。ああ…貴くんってホントずるい。カッコよすぎだよ。



fin.
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