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幼なじみに恋の風

第1章 再会


「ねえねえ!見て~綺麗な髪飾り!」
「へ~、桜か!似合うんじゃね?買うのか?」
「買いたい!でも、私たちお金なんて持ってない…」
「仕方ねーだろ…だってまだ俺たち小学生なんだから。」
「……。」
「おいおい、泣きそうな顔するなよ~…ったく仕方ねーな!俺が毎日こつこつお金貯めて、いつか買ってやるよ!」
「え!?いいの!?」
「ああ!約束だ!だから泣くな」
「うん!約束!」


─────ピピピッ ピピピッ
隣にある目覚まし時計がいつものように設定した時刻を告げる。
「ふわぁ…朝か。なんだか懐かしい夢だったな」

私の名前は楠木 愛。
桜山高校に通う高校二年生。
勉強はそこそこできるが運動はまったくダメ。
だから体育がとても嫌いだ。
だが今日は体育の授業がない。
(今日はいい日になりそう!!ううん。絶対いい日になる!!)

朝食を食べ、制服に着替え、髪をセットする。

そして時間を確認し、いつものように家を出る。
「行ってきます!」


学校は徒歩30分という比較的近い距離にある。
自転車通学というのもいいのだが、私はゆっくり歩いて景色を楽しむ方が好きだ。だから徒歩通学をしている。

通学路は道路を挟むようにして左右に木々が連なっている。
春は桜が満開で綺麗な桜並木になるし、夏は緑の葉が生い茂って気持ちのよい木陰になる。
秋には赤や黄色の紅葉になり、冬には葉が落ち、枝が姿を現す。
私はこの景色が大好きだ。


そんなことを考えていると
「あい!」
遠くから聞き慣れた明るい声が聞こえてきた。

(この声は…)
振り返ると私が思っていた通りの人物が手を振っているのが見えた。

彼女の名前は東雲 唯(しののめ ゆい)。
私と同じく桜山高校に通う高校二年生。
そして、私の大切な親友だ。

「おっはよー!」
今日の彼女もすごく元気で眩しい笑顔を見せる。
「おはよう!唯」


そして2人並んで学校に向かう。
学校に着いたらいつも通り教室に入り、いつも通り自分の席につく。

そんな当たり前の平凡な日常がこれからも続くのだと思っていた。
彼が現れるまでは────










「みんな、席について。転校生を紹介します。」
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