第7章 彼からの一言【hq 月島蛍】

姉からだ。

ｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰ

結依、お誕生日おめでとう♡
プレゼントは何がいい？
今日の帰りに蛍と見に行こうと思って＊＊

ｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰ



開かれた画面に思わずため息が漏れる。

否、嬉しいよ。

嬉しいんだけど…

正直、最後の一文が余分だった。




なんて返そうか…と考えていると、


｢ねぇ、早瀬さん｣

と、月島くんに呼ばれた。


｢お誕生日オメデト｣


そう言って、スマホ画面が差し出される。


月島くんの画面には


ｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰ

今日、結依の誕生日だから、プレゼントを買いに行きたいの。

部活の後に付き合ってくれない？

ｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰ


という、姉からのメッセージ。



きっと、月島くんは行くんだろう。


今日の夜、
姉と月島くんが仲良く選んだプレゼントが、私の手元に来るんだろう。



｢ありがと｣


短い短い一言をやっとの事で絞り出して、姉に返信をするべくスマホに目線を落とした。


さっきまで望んでいたハズの

社交辞令の『おめでとう』は、

目の前の画面が歪んで、ぼやけて、滲みそうになるくらい、

切ない、切ない、一言だった。