• テキストサイズ

いとし、いとし【短編集】

第41章 向き合うのが遅すぎた【刀剣 大和守安定】


光忠と一緒に夕食の準備をしていたが、なにやら向こうが騒がしい…。

「はぁ…」

やれやれ揉め事か…と溜息を一つこぼし、苦笑いする光忠に断りを入れていると、タイミングよく厚くんが走って来た。


「大変なんだ、大将!! 新撰組と陸奥守で喧嘩してやがる。頼むから来てくれ」

「よりによってそこが喧嘩って…」


やはり、元の主の関係性は男士達にも影響が出るのか…

頼れる初期刀と最近揃った新撰組刀のいがみ合う姿が頭に浮かぶ。



肩で息をする厚くんに腕を引かれ、大まかな事の次第を聞きながら大広間へと走った。


厚くん曰く、

大和守と陸奥守が言い合いになったのが事の発端だと…。

近づくにつれて、罵り会う声は大きくなる。

「やれやれー!」と煽る声や

「やめろ!!」「やめないか!!」と止めてくれようとしている声も…。


そして、着いた先で目に入ったのは取っ組み合いをする二人と、それを取り囲む男士達。

「はぁ…」

ため息をひとつこぼして、目一杯息を吸い込んだ。

察した厚くんは手のひらで両耳を塞ぐ。


「あんた達ー!!!!何してんの!!!止めー!!」


私の叫び声で全員の動きがとまた。
皆がそろーっと此方を振り返る。


「主…」
「おんしゃぁ…」


ばつの悪そうな顔をする二人。

/ 172ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp