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よるがあけるよ

第4章 水族館廃墟


再起動したら、駅廃墟に居たはずがバンカーの自室に戻っていた。

「1週間の謹慎です」
『……え。』
ほんの一瞬、10Dは「何故」と思って口にしようとしたが、機能停止する前の自分の行いを思い出し言うのを止める。
「現在確認されている10Dの処罰対象となる行為は、機械生命体との過度な接触を図ったこと、機械生命体の製造物に自ら手を加え起動を可能にさせたこと、戦闘中に機械生命体を擁護したこと、あとは……あなたの型では禁止されていたハッキングを行ったことです」
ことこと煩いな、と10Dは話し半分に14Oの声を聴いていた。
「反省してください。今回の件は複数のヨルハ隊員も巻き込んだ騒動なんですよ」
加えてヨルハ隊員はわざわざ飛行ユニットで10Dの義体をバンカーまで運んでくれたのだと14Oは話す。
詫びを入れなければならないが、会話をしたくないなと10Dは思う。
殺す必要のないものを殺した。安全だったはずの機械を暴走させた。彼女らはよく調べもせず、ただ倒す理由を探してばかりいた気がする。
「………ちょっと、聞いているんですか?」
『もう1回お願い。……します。』
不機嫌に見える14Oをベッドの上から仰ぐ。不思議な圧力を感じ、畏縮して取り付けたように「します」と加える。
呆れから出た溜め息が頭上から微かに聞こえた。
「……駅廃墟で10Dと共闘したヨルハ隊員達は現在バンカーには居ないので、後であなたからメッセージを送っておくように。それとメンテナンスが終わったら司令官の所に行ってください。話があるそうです」
『はぁーい……。』
目覚めたばかりというのもあって気乗りのしない10Dは、適当に返事をした。
14Oの言う通りメンテナンスはしなければな、と各部位の駆動を簡単に確かめる。
「……10D、私が言ったことを覚えてますか?」
『言ったこと……?。』
自身の目線を10Dに合わせるように14Oはしゃがみ込む。
10Dはいつのことを聞かれているのか見当が付かず、眉間に皺を寄せている14Oの顔を見て少し焦った。
「無茶や危険なことをせず、無事で過ごしなさいと言ったはずですよ。つい先日言ったばかりなのに全く守る気がないじゃないですか」
この前の欲しいものを聞いたときに言われた言葉だ、と10Dは思い出す。
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