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よるがあけるよ

第7章 大規模侵攻作戦


10Dの言う仲間と所属に興味を示した丸頭が、好奇心に満ちた声色で話をねだる。
ずっと昔からこの渓谷に留まっているものだから、自身の知らない地上に関する情報を少しでも聞きたいのだろう。
『いいよ、時間いっぱい話そう。』
別に困る要求ではない、と10Dは快く頷いて返す。
『まず、私の所属しているヨルハ部隊っていうのは機械生命体を倒すためにつくられた新型アンドロイド兵士の部隊で、もちろん私もその部隊の1人。主に物資の収集や機械生命体の討伐や調査を行ってるよ。』
「へぇ……! なんだか大変そうですねぇ」
『とっても大変だけど、ヨルハの戦闘員として誇りに思うよ。いつか目的が果たされる日まで頑張りたいんだ。』
丸頭は感心したようにゆっくりと相づちを何度も打っている。
「ヨルハ部隊の目的って何なんですか?」
『月面にいる人類がまた地球に戻って来れるようにすることだよ。』
10Dが答えると、それを聞いた丸頭はピタリと相づちを止めた。
「え…………人類はもう絶滅してますよ?」
静かなその声には僅かながら困惑が感じ取れる。
「……あれ? なんで僕、こんなこと覚えて……」
そう言いながら頭を抱えるように俯く丸頭を見つめる10Dもまた、困惑していた。
『ポッド、聞き間違いかな……人類が絶滅したって聞こえたんだけど。』
「回答:10Dの聴覚機能に異常はないため、聞き間違いではない」
ポッド107の返事に、10Dはより一層戸惑った。
人類が絶滅している……?
そんなはずはない。そんなことあっていいはずがない。
『ねぇ、ポッド。人類ってまだ絶滅してないよね?。月にいる人類からたまに通信とかあったよね?。』
「肯定:人類は絶滅していない」
『よかった。……ねぇ、君は何で人類が絶滅したと思ってるの?。』
ひとまず安心した10Dが丸頭に疑問を投げかけると、丸頭は浅く顔を上げつつ返答した。
「わかりません……ただ、人類って聞いた途端に"既に絶滅している"って記憶が蘇って……それで……」
「推測:対象は記憶喪失を患っているため、勘違いまたは妄想の可能性があり、情報の精度は限りなく不確かである」
途切れ途切れに喋っていた丸頭を遮り、ポッド107がそんな言葉を述べる。
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