第2章 雨と傘
どうしましょう……まさか午後から雨が降るなんて。
普段なら傘なんて無くても構わないけど、今日は荷物ありますし。流石に荷物を濡らすわけには……。
「やっぱり私って駄目な子なんですね……」
あ、涙が出てきそう。泣いちゃ駄目! 泣いたらもっと帰れなくなっちゃう!
なんで、私は雨を止ませる方法は知らないんだろう。どうして雨女なんだろう。悲しくなってきた。
「今度は何が悲しいんだい?」
「え、く、首無様!! どうして」
「毛倡妓から買い物に出たと聞いてね、午後から雨が降るから大丈夫かなって」
また私は首無様にご迷惑を……。
「申し訳ございません。首無様のお手を煩わせてしまいました」
「これは俺が勝手に心配して勝手にやったことだから。ほら傘を、傘、を……あれ?」
「どうしました?」
「ご、ごめん……傘一本しかない」
「あ……で、でしたら首無様が傘を持って荷物を……あ、でも首無様に荷物を持たせるなど! えっと、えっと」
えっとこういう時はどうしたら。
誰かと帰ったり、話したり、私には縁がなかったからこういう時はどうするのがいいのかしら。
「荷物貸して、俺が荷物持つから咲雨は傘を持って、俺が濡れないようにしてくれる?」
「はい! わかりました!」
首無様が濡れないように……
「咲雨はもう少しこっちに寄って」
「え、濡れますか?」
「濡れないけど、そんな傘の外にいたら咲雨が濡れちゃうでしょ」
「ですが、私が寄ったら私の陰気が移ってしまいます!」
「陰気って……咲雨が寄ってくれないなら俺が傘も持つよ?」
「そ、それはもっと駄目です!」
首無様はお優しいですが、時々意地悪です。
そのように言われてしまうと私はどうしていいのやら、わからなくなってしまいます。