第1章 豪雨の女
「雨女のぉ……ま、いいんじゃねぇの」
「総大将そんな簡単に……どこの組かもわからないのですぞ」
やはり鴉天狗様には反対されるか……。
なんとなくわかっていたけど。
「カラスよぉ、身寄りのねぇ女をこの雨の中外に出すのか」
「総大将、雨も何も雨女ですぞ。むしろ雨を呼んでいるのは」
「あーあーうるせぇ。娘さん名前は」
「さ、咲雨(ささめ)と申します」
「そうかい。首無、咲雨に部屋と仕事をくれてやれ」
「はい」
「ありがとうございます! 総大将様、首無様、ありがとうございます!」
俺もだけど、総大将もやはり女性には甘いなぁ。