第10章 素直な感情
それから由佳のソレは
傍から見たら恋人のように見える振舞だった。
僕も知ってる人もここではほぼいないだろうし、
嫌ではもちろん無かったからそのままにしておいた。
海近くの雑貨屋に入り、
昔いた場所みたい。って切ない顔で言いながら
お揃いで雑貨買おうよ!
なんて言っている。いつもなら否定するけど、
今のソレが心地よくて
「変な物じゃなければいいよ」
とか言ってしまって。
由佳はうんうん唸りながら吟味している。
持ってきたのは、
小さな色違いのペンギンのペン立てだった。
持ってみると小さいのに結構重く、
文鎮代わりにもなるモノらしい。
ただペンは5本も入らなさそうだけど。
ピンクと水色のペンギン。
「それで由佳がいいなら僕はそれでいいよ」
「あっ、蛍はピンクだよ?」
「は?なんで」
「何でもです!!」
そう言ってレジにいく由佳
結局僕が買うって言ったのに、
さっきご飯ごちそうになったから!
って聞かなくて、
僕はまた由佳からプレゼントをもらってしまった。
「仲いいねぇ~付き合いたてかい?」
なんて店主に言われ
由佳は否定もせずただニコッと笑いながらお辞儀をしただけだった。