第10章 素直な感情
由佳はさっきまでとは違う瞳ではしゃぎながら
「蛍見て!から揚げ沢山!山盛りだよ~!!いただきまーす!」
と、手を合わせて食べ始めた。
僕もいただきますと一言言って食べ始め、
落ち着いたのでさっきの話の続きを聞こうと
「言いかけた事気になるんだケド?」
「ん?あー…蛍が持っていてくれた方がご利益ありそうって意味だよ」
なんてさ、適当にごまかしているのはすぐわかった。
「…わかった。僕一人は嫌だから、交換しよう。僕は由佳の幸せを願えばいいんデショ?なら由佳も僕の幸せを願ってくれるって事だよね?」
「え…?」
「え?ってなに?自分の幸せは願わせておいて、僕のは願わないつもりなワケ?」
「…そうだよね。ちゃんと願うよ。蛍の幸せ、沢山沢山願うよ…!!」
そう言ってお互いの小瓶を交換した。
番の噂の事なんて願える訳なんてないのに…。