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恩讐の花嫁 【Fate/GO 巌窟王 夢小説】

第8章 裁判




 割れたステンドグラスから零れ落ちた光で、意識を取り戻す。随分深く眠っていたようだ。疲労もあまり残っていないようだ。ぼんやりとした意識が、次第に覚醒していく。朝のようだ。そのまま目を開ける。――――――――ん……?

「ぇ……?」

 私の目の前には、金色に黒十字の瞳。端正な顔立ち。血色のない白磁の肌――――――って……

「ひゃああ―――むぐ……ッ!?」

 アヴェンジャー!? ちなみに今、私の口はアヴェンジャーの手によって塞がれている。
「朝から騒がしいな、マスターよ。」
 ニヤリと笑いながら、アヴェンジャーはどこか得意気に、私を見ている。
「何を慌てている? 昨日は、俺の腕で眠りたいなどと、自ら口にしていたのに、か?」
「むぐ……! んぅー!」
 ああああああ! 恥ずかしいことをそんなに! はっきりと!?

「ぶは! はーっ、……ちょっと、アヴェンジャー!?」
 ぜぇぜぇと呼吸を整えながら、起き上がる。起き上がるだけなのに、朝から無駄に体力と精神力を消費した気がする。

「マスター、支度をしろ。今日はいよいよ『大空洞』へ赴くぞ。昨日の時点で、その方向にはひとつ、大きい反応があった。」
「え、あ……、うん。」
 支度を整えながら、返事をする。私は、あのシャドウ・サーヴァントもどきの大軍を目にしただけで、他に何の余裕も無かったけれど、アヴェンジャーは、そんなことまで察知していたのか。アヴェンジャーは、ただ戦闘で強いだけじゃない、優秀なサーヴァントなのだなぁと、しみじみと実感する。
 顔を洗って、身なりを整えて、食事を摂る。非常食の残りも、少なくなってきた。何とか、この非常食が尽きる前には、事態を解決したいところだ。

 出掛ける前に、パスを通じて、アヴェンジャーの残り魔力も調べる。
「あれ……?」
 昨日宝具を真名開放した割には、残り魔力は決して少なくなかった。むしろ、昨日よりも多いぐらい……?
「それはそうだろう。昨夜あれほど……」
「あー! あーー! もーうーいーいーでーすー!!」
 慌てて、自分の声で、アヴェンジャーの声をかき消す。一体何を言い出そうとしてくれてるの、アヴェンジャー!


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