第3章 憎悪
「!!?」
怪物の腕が私に振り下ろされるのを、スローモーションで見ていたはずの私は、空中にいる。
「え、ちょっ!?」
アヴェンジャーの顔が、近い。
「喋るな。舌を噛むぞ。」
「……。」
どうやら、アヴェンジャーが私を抱きかかえて、回避してくれているらしい。
着地して、地面に降ろされる。うん、大丈夫。膝は震えているけれど、何とか自力で立てる。
「ありがとう。……ごめんなさい。」
「迷うな。」
「……。」
「お前は、ここで朽ちるのか? 憎悪と殺意で魂を犯され、肉体までをも嬲(なぶ)られ、慰(なぐさ)み物に成り下がるのかと訊(き)いている!!!」
その瞳は、憤怒で燃え滾(たぎ)っていた。
「……!」
「ここで“負ける”とは、そういう事だ。」
アヴェンジャーは、そう言いながら、その両手で私の頬に触れた。
「……!!」
「お前が! 犯され、慰み物に成り下がると言うのならば!―――――――俺が! この俺が! この場でお前を殺してやる!!!!!!」
あぁ、アヴェンジャーは、――――――――――本気だ。