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イケメン戦国~捕らわれた心~

第3章 シラユキと白雪


「政宗様…白雪様」


「はっはい!」


焦って上ずった声で
返事を返しながら
政宗の胸から這い出て
居ずまい正す白雪


そんな白雪を笑いながらも
中断された行為に心が残る


声の主は家臣で
寺の裏手にある桜の群生が
見頃であることを伝えるもので
白雪様に是非とのことだった


早速
花を見に寺の裏手へ
白雪の手を取って歩いて行く


辺りを染める
満開の桜に


キラキラと
眼を輝かせる白雪と
花吹雪の中を歩く


「あっ!」


すると…
何かに気付いて駆け出す


「おいっ…走るな転ぶぞ!」


注意された事を
気にする様子もなく


「大丈夫!ねぇ!見て!ほら!」


満面の笑みを湛え
一本の桜を指差す


「…なんだ?」


言われるままに
桜の大木に眼を向ける


それは薄紅色の桜のなかで
ただ一つ純白の花を咲かせていた


「…白い…桜?」


「うん!そうなの!」


嬉しそうに微笑み
政宗に近寄り腕を絡める


「こっちの薄紅色のがソメイヨシノ」


「で…この白いのが…シラユキ!」


白雪の言葉に眼を見張る


「しら…ゆき…」


「うん!」


「お前と同じ…」


そう言われて仰ぎ見る
冴えざえと澄みわたる青空に
白い花が目に眩しい


「…この花がお前の
名の由来なのか?」


「うん!
お婆ちゃんが白い花が好きでね
お爺ちゃんが庭師に頼んで
庭中に白い花を植えたの
紫陽花とか小手毬とか躑躅とか
季節によって庭の何処かに
白い花が咲く様に」


「へぇ…」


聞きながら
白い花が咲き誇る庭で
微笑む白雪を想像していた


(悪く…ないな…)


「でね私が産まれたとき
庭に白い桜を植えたの」


「しらゆき…か」


「うん…そこから貰って
白雪になったんだって」


「桜に種類や名前があるなんて
知らなかった」


うっとりと花を愛でる
白雪の頬に手を添えて
こちらを向かせる


「白くて小さくて綺麗で
お前にぴったりだな」


照れる白雪が見たくて
わざと囁くように
艶っぽく言葉をかける


「っ…そんなこと…」


期待通り恥ずかしげに
頬を染めて俯いた


「可愛いな…照れてるお前の顔 」


さっと耳が染まる
そんな反応が可愛くて
後ろから抱き締める


肩に顎を乗せて先程から
気に掛かっている事を聞いてみる
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