第3章 また生きる事
ガタガタと震え出した身体に、リズム良く動いていたハサミが止まった。
「……ミサキ?」
もう、近くにはいないッ……
アイツ等はここにはいない!
……はずなのに…………
身体が……
記憶が……
あいつ等に縛られて……
まるで呪縛のようだ。
「ミサキッ!!!」
『ッ……!?』
ミカサに強く名前を呼ばれて我に帰る。
「震えてる。」
強い眼差しのミカサにソッと手を掴まれた。
「悪かった。嫌な事だったら思い出さなくていい。」
ミカサは、女性らしく細く綺麗な手をしていたけど、凄く温かくて力強い手で……
『……ごめんね。急に。』
「大丈夫。私は気にしてない。」
私に気遣ってなのか、困った様に笑い、また前を向く。
その背中に小さく問い掛けた。
『……私にも…………大切な人、出来るかな…?』
空に浮かぶ、綺麗な満月。
月を見上げたのは久しぶりかも知れない。
「生きていれば、きっと見つかる。ミサキが守りたいものも、ミサキを大切にしてくれる人も。」
ミカサの声が、やけに頭に残った。