第4章 暴露の世界
なん、だ……?
ここは……
オレンジ色の淡いランプに照らされるバーに、カウンター傍の壁には刺青の見本が幾つも飾られている。
見覚えがある場所。
ここは……そう、ミズキの店だ。
けど、なんか違う。
ザワザワ、ザワザワ。
店内には身動き取れないんじゃないかってくらい、たくさんの客がいる。
ソイツら全員……
顔が、ない。
真っ赤な口だけが楽しそうにぱくっと開いて、ぬらぬらと蠢いてる。
さらにおかしいのは、店内にいるヤツらの会話が一語一句全て聞こえることだった。
『エー、りぶトカダサイシ』
『ヤッパらいむノホウガダンゼンイイッショ』
『ミンナヤッテルシネ』
『ソウソウ、りぶハソロソロアキテキタヨナ』
『コレカラハヤッパらいむデショ』
『りぶナンテヤメチマオウゼ』
フフフッ、アハハッ、と不規則な笑い声が四方八方から響き渡る。
「…………っ」
ごちゃまぜになった声や言葉が頭の中で暴れ回り、うるさくてたまらない。
ぐるぐる、グルグル。
言葉が、声が、頭の中で弧を描き旋回する。
「なんなんだよ、これは……っ!」