第9章 通じ合う
エルヴィンさん、私、いい子になりますから………
だから、嫌わないでください…………
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結局一睡もできないまま出発の時間が来てしまった。目の下はクマだらけで泣き腫らしたせいで目は赤い。
こんな姿で今から璧外へ向かうみんなの前に出れないと思い、見送りには行かないことにした。
…………戻ってきたら伝えよう、エルヴィンさんに。
だから、
『帰ってきて…………』
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兵団内から誰もいなくなったのを確認すると、私は以前使っていた部屋へと足を運ぶ。
あの時以来戻っていなかったため、荷物はそのままだった。
着るものに困っていた私は誰もいない今を狙って取りに行こうと思っていた。
『………うわ、香水くっさ』
私が出ていったあとの部屋はあの子達のだろうか、すごく香水の混ざりあった香りがした。
これは長居出来ないな。
私はベッドの上に登り服や雑誌、小物など持ってきたものを箱に詰めて部屋から出た。