第2章 決断
彼が帰った今でも唇には彼の分厚い唇の感覚が残っている。
はじめて彼にされたキス…………それはまた会おう、のキス。挨拶のようであった。
しかし、私は涙が止まらなかった
喪失感が溢れてくるようだ。
いつも話をしてくれたエルヴィンさん…………
頭を撫でてくれたエルヴィンさん……………
彼のしてくれる話が好きだった。
いや、
私はこの日、はじめてエルヴィンさんへの恋心に気づいた
そうだ、私はお話を待っていたのではなくエルヴィンさんをまっていたのだ。
でも、恋心に気づいた今はもう彼はいない。もしかしたらもう会えないかもしれない。
『っうぐ、』
久しぶりに子供のように声を上げて泣いた。嗚咽をあげ、たまに吐きそうになりながら。
『あまり本気になるんじゃないよ』
今ならわかる、
すっごくわかる。
でもそれでも、
私は恋をしていたと思う
来年、私は訓練兵団にはいる。
そして、絶対調査兵団になる。
その時まで生きててね、
私も頑張るから……………