第2章 決断
その日に来たエルヴィンさんはひどく居心地が悪そうだった。
調査兵団に所属が決まったとは聞いていたが、忙しいみたいで前みたいに来る回数は少なくなっていた。
久しぶりに会えて私は嬉しかった。またいろんなお話が聞けるんだ、今日は調査兵団について聞かせてもらおう。
『エルヴィンさーーーーー』
『アン、すまない』
『俺は3日後壁外調査へ向かう。』
頭が真っ白になった。
壁外調査ーーーーエルヴィンさんの話によると新兵の5割は巨人に食われてしまう危険なもの。
『だから…………来れないんだ。これからも。』
『な、なんで』
『アン、俺は調査兵団になった。これからもっと強くなって生きて帰らないといけない。それに新兵には覚えることが沢山ある。だから………その…………すまない。』
『……………泣いているのか?』
エルヴィンさんに顔を覗かれ私は自然に涙がこぼれ落ちていることに気付く。
『な、ないてない………目にゴミが入っただけ………』
……………お話を聞けなくなるのが。会えなくなってしまうのが。なでてもらえなくなるのが。
寂しい。
なんて言えない。
言ったらエルヴィンさんが困ってしまう。
だって恋人ならまだしも私はお話し相手。
『最後に一つだけ、いいかい?』
『なんでしょう』
『……………たまには甘えて欲しい』
………………予想外だった。