第1章 江戸川乱歩/名探偵の独占欲
「良い湯だったなぁ~♪」
いつもより上機嫌である事が自分でもよく解る。
だって気になる子と同棲なんて嬉しいに決まってるよね!
今までの反応を見てれば、ボクの超推理なんて使わなくても彼女が男の部屋に慣れてない事は明白な訳で。
お風呂から上がったボクを見てどんな反応を見せてくれるのか楽しみだな♪
あ、少し驚かせてみようか?
ボクはわくわくしながら早急にパジャマに着替えて
彼女の待つ部屋へと続くドアに忍び寄った。
出来るだけ音を立てずに、そっと
そっとドアを空けたところで
ーボクの優秀な頭脳は一旦機能を停止したー
「うーん…この男性が怪しいような…」
「ふふ、そればどうであるかな」
なんで?
なんでそんなに楽しそうにしてるの?
なんでそんなに寄り添ってるの?
ボクの優秀な頭脳は
知らない黒い感情に支配されていた。