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【文豪ストレイドッグス・文スト】中原中也・中編 ※R18

第1章 (脚フェチの中也とえっちしてイチャイチャするだけの話)


「ねぇ、中也」

彼女はもう何度目かの彼の名前を呼んでみる。
片手にはシャンパングラス。中身は空。
硝子製のテーブルに腰掛けた真っ赤なミニドレスを身につけた美貌の女と、同じくテーブルに書類を広げて熱心に文字を書き綴る男。
こちらも端正な顔付だが、眉根が寄せられ口元はやや歪んでいる。

「ンだよ五月蝿せェなブス」
「まだ何も言ってないじゃんバカ」
「言ってんじゃねーかクソ女」
「だって中也が呼び出したくせにずっと仕事してるんだもん」
「手前が五月蝿いと終わるものも終わらねェんだよ」
「中也の遅漏!ハゲ!」
「誰が遅漏だ!!!あとハゲてねぇよ!」

2人の端正な口元からは想像し難い罵詈雑言が、まるで川のように自然に流れていくのだった。
彼女に言われ慣れている数々の暴言に言葉は返すものの、彼も本気で苛立っているわけではない。

「中也の若ハゲチビ」
「アー!もう!何なんだよ手前は!喧嘩売ってんのか!?」

テーブルをバン、と打ち付けると中也は彼女を睨みつけるが、はと言えば、どこ吹く風である。
が現在履いているパンプスのヒール高は約10センチ。つまり今立ち上がると確実にマイの方が身長が高い状態にあるのだ。
そんなことは中也が1番良く知っていた。

「大体手前がでかいくせに更にそんなヒール履くからだろうが!」
ふん、と鼻息荒く言い捨てた中原中也は彼女の足元をじろりと睨む。

「だってお仕事だったんだもん〜」
は頬を膨らませると、腰掛けたテーブルの上で足をフラフラと揺らす。
黒い天鵞絨のパンプスは彼女の長く白い足に良く映え、時折見える靴裏の真紅の色がまるで獣の舌のようだ、と中也は思う。
彼女の足はどんな靴でも似合ってしまう…

「大体、この靴くれたの中也でしょ」
「まァな」
「中也、靴のセンスほんとに良いから、一寸足が痛くても履いちゃうんだよね」

そう言って、彼女はにこりと微笑む。まるで深夜の月光花のような笑顔を前に、中也の喉まででかかっていた言葉をそっと身を潜めたのだった。
(若ハゲは訂正しろよマジで…)

時刻はちょうど、子夜。
珍しく晴れた夜空には雲がない。カーテンの隙間から入るわずかな月光と、街々のライト。
彼女の指先の赤いネイルがそっと闇色のパンプスをなぞる。
靴裏の赤から、したたる赤い液体がぽとり、と赤い絨毯に落ちたーーー
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