第7章 きょうだい 其の參
本当、清光には頼りっぱなし寄りかかりっぱなしです。
言ってもわたし達は会って数日…本当の本当に、とても幸せな出会いですよ。
ベッドの近くに棒立ちだった今剣は、清光がいなくなるとわたしの傍まで来て寝転んだわたしの顔の真横にしゃがんで目線を合わせました。
「ほんとうに、ごめんなさい…!
ぼくのみがってで、あるじさまがどんどんぼろぼろになっていってしまって…」
「少なくとも今日のは絶対、わたし一人の体調管理ができていなかったことだけが原因ですよ。
だから、そんなに謝らないでください」
手を伸ばして、頭を撫でます。
笑ってほしくて伸ばしたのに、今剣は申し訳なさそうにどこか痛いのかというように、見ているこっちが辛くなる表情になるだけでした。
「ぼくのせいです、ぼくがわるいんです…すごく、すごくぼくがじぶんかってで、わがままだったから…。
いま、あるじさまのおそばにいることもぼくのかってで、ひどいことをしたのにまだしつこくおそばにいようとしてるんです」
いつもなら喜んでくれる筈なのに、今はわたしからされること、全てが嫌みたいで、わたしのことば、全部納得できないみたいで…。
「…わたしが、わたしが、我が儘なんです。
自分勝手に呼び出してるくせに、ろくにみんなの助けにもならないで。
戦って傷付くのはみんなで、わたしはいつでも安全なこの場所でぼんやりしているだけで、いつか誰かに寝首をかかれても怨めないような…。
もうあの事は終わった話なんです、だから、今剣もいつまでも引き摺らなくていいんですよ?」
それでもやっぱり今剣は、責任感で、いっぱいいっぱいみたいです。
うつむいてぎゅっと下唇を噛んで、わたしの言葉を聞き入れてくれていません。
わたしは今剣、と名前を呼んで彼のほっぺたに両手を添わせます。
「負うべき物が責任です。ですが、あなたが今わたしに対して抱いているのは責任感。
同じようで全然違いますよ」
今剣は目に映る私をゆらゆら揺らしました。
「あなたは、負わなくていいものまで負いたがってます…それが責任感です。
ありもしない責任を、感じているんです。
それが責任感…一見美徳の様ですが、傲慢です。
あなたが持つものじゃないのに、勝手に持とうだなんてしないでください」
わたしは薄情なくらいに冷たく否定しました。