第3章 2人の距離3
「…え?誰?…ああ!由梨ちゃん久しぶり!」
楓ちゃんが離れると誰だか分かったのか笑顔で言う相葉さん
そしてチラッとちょっと俺を見る
見んじゃないよ馬鹿たれ
相葉さんに言った事を少し後悔していると、お久しぶりです。みなさん。と相変わらずの礼儀正しい挨拶をする由梨
「雪乃くんお久しぶりです。…由梨ちゃんも。」
由梨と一緒に来た人に潤くんがそう言う。
あまりの衝撃で気づかなかったけど、この人が雪乃空かー。となんとなく遠巻きでその光景を見ていた
「久しぶりだな〜。もう仕事復帰したんだ」
翔さんが進行表そっちのけで笑顔でそう言うと少し難しい顔をする由梨
「あ、あのね。櫻井くん実はね…「楓さん!大丈夫ですよ」」
楓ちゃんが何かを言い出そうとするのを遮る由梨は少し笑った
楓ちゃんは泣きそうな顔をしている。
そして由梨は雪乃さんをチラッと見たあと俺たちに向き直った
「駄目だったんですよ。…赤ちゃん。」
シーンとする控え室
どう言ってやったら良いかわからない
由梨の顔をまともに見る事が出来なかった
どんな顔してこの事を伝えにきたのだろうとか、そんな事を考えてしまって
「えっ…あの、ごめん。なんていうか。その。」
翔さんはきっかけを作ってしまった手前、凄く申し訳なさそうに言う
実際多分俺たちみんな同じような顔をしていたと思う
それでも由梨は逆ににっこり笑っていた
「でももう大丈夫です。…こうやって空さんの専属で復帰できたし。」
「皆さんそんな顔しないで下さい。…ごめんなさい。変な空気にさせて。」
自分の方が辛いはずなのにこの場の空気を心配するのは相変わらずで
「でもお世話になった方にはちゃんと伝えたかったんです。」
眉毛を八の字にしながらそう言う由梨を思い切り再度抱きしめる楓ちゃん
うわーん!!と泣き出す楓ちゃんをよしよしと頭を撫でてあやす由梨
そんな光景が過去によく見たもので安心した。
由梨達は暫くすると控え室を出て行き翔さんも司会だから早々に出て行った
俺はというものいたって普通にゲームしたりタバコ吸ったりしていて
相葉さんが周りを気にして何にも言ってこないのが救いだった