第3章 2人の距離3
「それは、…やっぱキツイよな」
苦笑いでそう言う彼は多分由梨が妊娠したことを知っているから控えめに言うのだろう
「それがさー。そうでもないのよ」
食べ終わった食器をキッチンに戻しながらそう言うと、はぁ⁈…やっぱお前かわってんな。と呆れ顔の相葉さん
お茶を入れ直し座ってた席に戻り一口飲むと向かいの席で、全く理解不能だ。と言う相葉さん
「まぁね、驚いたことは確かだけど。言ってもめでたい話じゃないですか。」
今度は俺が頬杖をつきながら言うと、確かにね。と少し納得する相葉さん
実際もう如何にかなる問題ではない
由梨が今笑ってくれていたら良いってロマン語る訳じゃないけど本当に心から思ってる。
ゲームを開きまた1人の世界に入ろうとすると相葉さんがぽつりと話しだした
「そいやさー。もう産まれたのかな」
さぁ?と返事をすると、お祝いするか。と言う話になりその後は何を贈ろうかとあれやこれやと言い合う。
実際会えるかもわからないのに。
そんな思いとは裏腹に、意外な形で再会するとは想像つかなかった
「いやー。今日はよろしくお願いしますね」
隣に座り進行表を確認する翔さんの肩をポンと叩きながらニヤつくと潤くんが悪ノリしだした
「ほんと。櫻井さんあっての今日ですから。ありがとうございます」
ニヤニヤしてそう言う潤くんに翔さんがブハッと吹き出した。
今日は生放送の歌番組で司会が翔さん。
当然翔さんが司会なのでそれに肖り嵐さんも出るわけで。
ちなみにヘアメイクはお馴染みの楓ちゃん。
「楓ちゃん、今日はどうしたの?体調悪い?」
今日の楓ちゃんはいやに落ち着きがなかったのでヘアメイクが一通り終わった後にそう言うと少し目を泳がし、いや?と流そうとする。
それ以上は触れてほしくなさそうだったのでほっといてゲームを始めると意外と早く原因がわかった。
コンコンと控えめなノック音が控え室に響き渡ると楓ちゃんがさっと動いた。
そして扉が開いた瞬間に誰かを抱きしめる楓ちゃん
あのサイズ感。
この光景が凄い懐かしいものに感じた。
それと同時にぶわっと過去の記憶が蘇る。
あれは、多分由梨だ。
そう確信するとあの抱きしめた時のふわっと香るにおいとか今までの出来事を思い出し少し手汗が出た。