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【イケメン戦国】恋花謳〜コイハナウタ〜

第13章 恋知りの謌【謙信】湯治編の番外編 〜佐助の苦悩〜


ハッと気づくと、

視界に入ってきたのは、

離れの天井であった。


「…??!!!」




ガバ!と起き上がり、

辺りを見回すと

(……夢…?…俺は…眠っていたのか??)





今の今まで繰り広げられていた淫靡な倒錯の世界は、

どうやら佐助が見ていた夢であったようだった。





「…っクソ!」

そうだったなら

もっとあんなことや、

もっとこんなことをしてしまえば良かった。


…冷静になればなるほど、

くだらない後悔の念が溢れ出した。



(…夢の中ですら…俺は美蘭さんを手に入れることができないのか…。)





「……っ!」

ほんの一瞬、

頭の中をよぎった感情に、

佐助はハッとした。





(……いや、そうじゃない。)





佐助は思った。




たとえ夢の中であろうと、

自分が思うがままに美蘭を抱かなくて良かった…と。






あんなに、

可愛くて、ほっとけない女の子はいない。

気がつけば、

その魅力に翻弄されてしまう。





だが、




その前に




大切な、

大切な友人なのだ。




言うまでもなく、

謙信も、

かけがえの無い上司であり友人である。





二人は佐助にとって、

一時の感情や、欲望などという低俗な理由によって失うことのできない、

大切な、

かけがえのない存在なのだ。





そう思うと、

あの夢のせいではち切れんばかりに膨らんでおさまらない己自身を、自分で解してやる気分にはなれず




佐助は褥の中で丸くなり、

あまんじて、

その辛さを、

ただただやり過ごしたのであった。





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