第12章 恋知りの謌【謙信】湯治編 〜おしおき〜
「…わたし…だけ…ですか?」
剥き出しの逞しい胸元に、美蘭のか細い手のひらが這わされ、腕の中から探るような視線で見上げられた謙信は
「…?…何がだ?」
自分でも驚いてしまうほど甘く優しい口調で、返事をした。
すると美蘭は、
「昨日の夜みたいに…激しくて…熱い謙信様を…知っているのは…わたしだけ…ですか?」
真っ赤な顔で、期待を込めた瞳を揺らし、謙信を見つめた。
その愛らし過ぎる質問に胸が躍りながらも、
また美蘭を不安にさせてはならない、と
「…!当たり前だ。俺が自ら求めた女は、後にも先にもおまえだけだ。」
謙信は、誠心誠意、答えた。
「……美蘭?」
不安がる美蘭を安心させたいはずが、
美蘭が安心出来たかどうかで謙信の方が心配になりはじめた
その時
「うふふ。なら…堪らなく…気分が良いです!」
ふにゃ、と安心しきった笑顔を浮かべた美蘭は、
「…!!!」
あまりに愛らしく、
目覚めたばかりだというのに、また謙信の身体の芯に熱い火を灯させた。
堪らず乳房を揉みはじめながら、謙信は呟くように言った。
「織田の奴等は気に食わぬが、おまえが大切に思っていることは知っている。だから好きにさせたいが…俺はまた不愉快にもなるだろう。」
乳首を捏ねると、
「…あ…っは…い…っん…っ…」
相槌を打とうとする美蘭の息が上がり、
すこし開いたその口を、謙信の熱い口付けが塞いだ。
「ん…チュ…っ…ふ…う…チュ…」
そしてその口付けは甘く深まり、
そのあまりの甘さに
美蘭は
身体が溶けて無くなりそうな気さえした。
チュ…と音を立てて、
やっとのことで唇が解放されると
「…その度にこうして…俺を鎮めてくれるか?」
上気した、蕩けた表情の謙信が、
腕の中の美蘭を見降ろす。
美蘭は
黙って謙信の胸の中を這い上がり顔を近づけると、
自分から、チュ…と触れるだけの口付けをして、謙信を見つめた。
「はい。…何度でも。」
そう言いながら、
また自分から謙信に口付けた。
それは
甘く甘く深まっていった。
恋知りの謌【謙信】
番外編 〜おしおき〜
完