第12章 恋知りの謌【謙信】湯治編 〜おしおき〜
「俺のことも呼び捨ててみろ。」
「…っ…え…?」
乳房を揉みながら発せられた言葉は威圧的な言い方であったのに、
どこか甘えたような、縋るような瞳で下から見上げてくる謙信に、美蘭はキュンとなった。
「けん…しん…」
「…っ!!!」
それは、大きな誤算だった。
少し意地悪をして可愛い困り顔を見たいと思い、話しの流れでなんとなく呼び捨てにさせてみたのであったが、
女に呼び捨てされるなど、この世に生を受けて初めてに近い謙信にとって、愛しい女から名を呼ばれたことは、あまりに新鮮で。
理由はわからないが、身体の中をゾクゾクとした感覚が走り抜けた。
「して欲しいことがあれば…今のように俺の名を言ってから申せ。」
「…え??」
呼び捨てを続けろ…と言っていることはわかったのだが、
一度呼ぶだけでも緊張したというのに、何度もできるだろうかと狼狽えた美蘭であったが
「そうすれば…何でもおまえがして欲しいようにしてやる。」
「…っ!!!」
身体も心も、
正直限界だった美蘭は、
甘い刺激が得られるなら
言われるままに従おうと、覚悟を決めた。
「謙信…触って…ください…」
ため息まじりに、身体の限界に負けて、恥ずかしそうに必死に謙信の要望に応えようとする美蘭の姿は
謙信を堪らなくゾクゾクさせた。
「だめだ。」
意地悪を言われたときの、困った顔すら愛らしくて仕方ない。
「独眼竜や徳川にするように敬語もやめだ。」
浮かれた内心は決して表さぬように、命じるように言うと
「…!」
「さあ…申せ。」
美蘭は、必死にまた応える。
「…謙信…っ…さわっ…て…」
元来誰を支配するのも、支配されるのも好まない謙信であるが、
美蘭に支配されるような言葉を向けられるのは心地よく
だが、実際には自分が支配しているこの光景に興奮した。
「…っ。何処を触って欲しいのだ?」
謙信も思わず息が上がった。
「ここ…」
美蘭は、ジンジン熱い蕾を触って欲しかった。
熱に浮かされるように手を自分の身体の中心に這わすと
自分で自分の花びらをクチャリと開きながら言った。
「謙信…ここ…触って…?」