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~愛ではなく、恋~【ハイキュー‼】

第6章 ~恋と恋の、あいだ~(松川 一静)




『静を心配させたくないし、
…静に心配されたくないの。

私たち、
ほとんど同じ時間、生きてきて、
ほとんど同じ時間、母親してるのに、

静は、
お店も人脈も、いっちゃんも持ってて、
私の手元には、何も残らなかった。

分かってるのよ、
静が苦労してきたことも、
私は自分の生き方を他人に委ねてたから
こうなった、ってことも。
わかってるんだけど…』

大人の世界も
女の世界も
俺にはよくわからないけど、

綾ちゃんの心にあるのが
深い闇だということは、わかる。

…それは多分、"嫉妬"という名の闇で、

闇を吐き出すことは、
"自分の裏側をさらけ出す"
という苦しみを伴うことも、

だけど、
"さらけ出すから救われる"
ということも、
俺は、なんとなく、知ってる。

…なんでかって言うと、
及川が、影山に噛みつく姿を
何度も何度も見てきたから。

他人からの評価では埋められない、
本人だけの闇がある。

及川は、
岩泉というストッパーが
暴走しないようにコントロールしてるから
いつも笑い事で済むけど、

綾ちゃんは?

強くない酒を飲んで自分を押さえる?
…それじゃ、淋しすぎるだろ…

そんなことを考えて
黙りこんでしまった俺を、
綾ちゃんが慌てて笑い飛ばした。

『あれ、いっちゃん、ドン引きしてる?
いやだー、ごめーん、これだから
酔っ払いって、ダメよねぇ。
はい、この話、おしまい!
あら、もうこんな時間!
いっちゃん、そろそろ、帰…』

『綾ちゃん、』

『ん?』

想いはいっぱいあるのに、
うまく言葉に出来なくて。

"大丈夫?"って聞いたとしても、
きっと綾ちゃんは、笑いながら
"大丈夫"って答えるに違いない。

…大丈夫じゃ、ないくせに。

綾ちゃんが俺に頼るわけないけど
1人にして帰る、なんて、出来ねぇから。

『俺の話も、聞いてくれる?』

『話?なぁに?』

今、少しでも
綾ちゃんのそばにいるために、
俺が持ってる切り札は、1つ。


『俺、今日、彼女と別れた。』


あら、という小さな一言。


…俺がここにいるのは、
綾ちゃんが心配だからじゃなくて、
綾ちゃんに心配してほしいから、

…ってことなら、
追い返したりはしないだろ?

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