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~愛ではなく、恋~【ハイキュー‼】

第6章 ~恋と恋の、あいだ~(松川 一静)




『またいっちゃんに助けられちゃった。
あたし、大人なのに。』

『大人とか子どもとか、関係ないんじゃね?』

『でもこんな大人、ガッカリでしょ?』

『そうかな?
俺の回りには、わりといるよ?
酒飲む大人って、俺には
ほとんどそんな感じに見えるけど。』

『そう?』

『うん。』

『…私よりいっちゃんの方が、
世の中、よく知ってるかもね。』

『んなこと、ねーけど…
でも、高校生にしちゃ、
酔っぱらいの相手は得意かな。』

うふふ、私よりやっぱり大人ね、
そう言いながら、綾ちゃんが笑う。

…あぁ、笑ってる。よかった。
そうだ、

『それより綾ちゃん、
飯、ちゃんと食ってんの?』

『…いっちゃんに
食生活を心配される日が来るなんて、
私、思いもしなかった!』

『だって、さっき、冷蔵庫あけたら
あんまりにもカラッポだからさ、』

『…自分のためだけにご飯作るのって、
なんだか面倒くさくて…』

そんなん、
綾ちゃんらしくねぇじゃん。

『わかった、じゃ、俺がなんか作る!』

ええっ?!
立ち上がった俺を見て
びっくりした顔の綾ちゃん。

『卵割るのも苦手な人が?!
材料もろくにないのに、無理よ!』

『やってみたら何とかなるって。』

『ならないと思うなぁ。』

『勝手に開けるよ?』

勢いよく台所に行って、
そこらへんの扉や引き出しの中を
ゴソゴソと探す。

…むしろ、下手な料理でいいんだ。
気持ちを少しでも明るくしてもらえれば。
少しでも笑って、気が紛れれば。

『あ!これなら、俺でもなんとか…』

棚の中から、そうめん、発見。
もう、冬だけど。
この際、食えれば何でもいい。

何、見つけたの?…と言いながら、
綾ちゃんも台所にやって来た。

『素麺!夏の残りがあったんだ…
よく見つけたねぇ。
ね、いっちゃん、お腹すいてる?』

『言われてみれば、すいてるな。』

『じゃ、二人で食べようか。』

夜中に、二人で、台所。
俺が綾ちゃんの指示の通り
素麺を茹でてる隣で、

綾ちゃんは
冷凍庫から探し出してきた
ネギとか鶏肉とか油揚げを使って
めんつゆをバージョンアップしてる。

話しながら、笑いながら。
…俺も、彼女と別れたことなんか、
すっかり、忘れていた。

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