第6章 ~恋と恋の、あいだ~(松川 一静)
『…そんで、花とコップが、どーした?』
『俺の想像だけど…座る?』
ちょうど腰くらいの高さのブロック塀に
二人で並んで腰を下ろした。
『きっと綾さん、今日、買い物行ってさ、
その時つい、花、買っちゃったんだよ。
まっつんが来るから、なんとなく、
部屋を飾りたかったんじゃないかなぁ。
…日頃、多分、
自分のためにはそんなことしないから
花瓶がないことに帰ってから気付いて、
とりあえず、コップに挿してさ。』
『…ふーん。』
『ま、結局、
肝心のまっつんはそれに気付かずに、
女心に敏感な俺が気付いちゃう、
っていう展開だったわけだけど(笑)』
『女心に鈍感で、わるかったな!』
『いやいや、それが
まっつんのいいところだし。』
『それ、誉めてねぇぞ…で?』
『んー、つまり、綾さんはきっと、
広い意味で、まっつんが来るの、
楽しみにしてたんだと思うよ。
まぁ、正直に言えば
"好き"とかじゃないかもしれないけど。』
『…やっぱ、俺じゃなくてもいいわけか…』
『いや、そこはやっぱ、まっつんだって。
好きとか恋とか愛じゃなくてもさぁ、
弱み見せられるとか、心許せる、とか、
それって多分、女性にとっては
すっごーく重要なポイントじゃん?
黙って聞いてくれるまっつんだからこそ
ついついレディの方から率先して
心も、お股も開いちゃう…』
『はっ?!おい、下品なこと、言うな!』
『開いてもらって嬉しいくせにっ!!
…痛っ、痛いよ、まっつん!』
とりあえず、一発、喰らわしながらも、
及川の言葉に、反論の余地はない。
『なぁ、俺、どーしたらいい?』
『ちょっと待って、その言葉、
そのまんままっつんに返したいよ!
俺はどーしたらいいのさ?』
『…は?』
俺が困ってるのは一目瞭然だけど、
なんで及川が困るんだ?
『なんで及川が困るんだよ?』
『取り急ぎ、困るじゃん!』
こっちを覗き込む及川の顔。
整った顔は、
困る、というより拗ねている。
『俺は明日、まっつんの彼女に
何て報告したらいいのさ?
このままだと、君の彼氏は
年上熟女にもってかれそうだよ、って
ハッキリ報告していいわけ?』
『…そんな、
二股かけてるみたいな言い方、すんなよ!』
『えぇっ、まっつん、自覚、ナシ?
いやいや、どー見たって二股じゃん!』
