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~愛ではなく、恋~【ハイキュー‼】

第6章 ~恋と恋の、あいだ~(松川 一静)




『ぁ、ご、ごめん、俺、そんなつもりじゃ…』

涙を見て、取り乱してしまう。
思ったことを口にしただけなのに
泣かせてしまった。

大人の涙。
…あれ、今まで見たことない気がする。

どうしよう。
泣くほど、傷つけてしまった?

『ほんと、ごめん、
俺、なんもわかんねぇのに、
知った口きいたりして、ぇぇと…』

泣いてる人を見たら、
と、とりあえず、は、ハンカチ?
おぁ、ハンカチも、ない。

しょうがないから、
テーブルに置いてあった
店の名前入りのペーパーナプキンを手渡す。

…俺にはやっぱり、言葉が足りない。

『ごめん。ほんと、ごめん。
ガキのくせに、イキがったりして…』

涙を拭く綾ちゃんは、
…予想外に、悲しそうな顔ではなく。

『いっちゃん、謝らないで。
これ、どっちかっていったら嬉し泣き。
そんな真っ直ぐな優しい言葉聴いたら、
なんか…
大人なんだから頑張らなきゃって
突っ張ってた気持ちが、緩んじゃった。』

使ったペーパーナプキンを折り畳んで
テーブルに置きながら、こっちを向く。

『いっちゃんの言葉のお陰で、
自分でも気づいたよ。
あたし…結局、淋しかったんだね。
結婚してても離婚しても
結局、淋しいなんて、カッコ悪い。
ただの"かまってちゃん"だ。ダサっ。』

綾ちゃんの目のそばに、
小さな白い、紙のカケラ。
涙で、ペーパーナプキンが貼り付いてる。

『綾ちゃん、ここ、ついてる。』

『やだ、はずかし。どこ?ここ?』

『もーちょっと、右…そっち左じゃん、
あ、そか、逆か、えと、
綾ちゃんから見たら、左の、
もちょい、上、上、…あー、もうっ、』

なかなかうまく伝わらなくて
俺がとってあげようと
ヒュッ、と手を伸ばしたら
びっくりしたように
綾ちゃんが目をつぶる。

テーブル越し。
目元の白いカケラをつまんで、
ついでに、涙がまだ乾かない目尻を
手のひらでそっと拭ってあげる。

フッ、と空気が動いて、
俺の手首を、綾ちゃんが掴んだ。
俺の右の手のひらが、
綾ちゃんの左の頬を包みこむ。

ぬくもりで、
手のひらと頬が溶け合ったような気がした。

…目をつぶったままの綾ちゃん。
口にしたのは、小さな声。
だけど、とてもキモチ良さそうな。


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