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【イケメン戦国】花 謳 〜ハナウタ〜

第1章 荒野に芽吹いた花の名は【信長】


夕餉の後、
秀吉に連れられ天主にやって来た美蘭は、


またも
反抗的な瞳でこの俺に噛み付いている。



「夜伽なんて、絶対に御断りします!」


「…美蘭!」


出会った日に同じことを言って
この俺に手を上げて反撃した美蘭に、
「次に同じことをしたら斬って捨てる」と
言い放ったはずの秀吉が、


いつの間に情にほだされたのか、
美蘭を気遣い狼狽えておるのが滑稽だ。


結局、

理由のわからぬ感情に煽られて
美蘭を呼びつけたものの、
話題もないから夜伽を命じてみればこの有様。


「貴様はこの俺を嫌っておるのか?」


ここまで、
頑なにこの俺を拒む理由は何だ?


「お…御館様を嫌うなど…そのようなっ…」
「貴様は黙っておれ、秀吉。美蘭。どうなのだ。」


いつもの如く、俺の不利益に
黙ってなどおれぬ秀吉に一喝して、
また美蘭を見据えた。


すると美蘭は、
頭の中で必死に考えを巡らせている様子で、
言葉を選びながら、話し始めた。


「違います!…と…思います…。」


「…ほう?」


またとない好機であると、
文句を言われる覚悟はしていたのであるが。


「今日…見せていただいた城下。すごく活気があって、素晴らしかったです。人びとにあんなに素敵な笑顔をもたらしたのは信長様なんだって思ったら…」


「…思ったら、何だ。」


「すごいな…って。感激しました。」


「…!」


何故かわからぬが、
此奴の言葉は俺を心地よくさせた。


たかが女子の言葉が。


「それなのにこんな…!「夜伽を命ずる」なんて、そんなの女の人を馬鹿にしてます!どうしてそんなこと命令されなきゃいけないんですか?500年後だったら警察に捕まります!!」


褒めたと思ったら今度は、
また震えながら意見し始めた美蘭。


「けいさつにつかまる…とは、どういう意味だ?」


「〜〜〜!罰を与えられるってことです!500年後は、天下泰平の世の中は…男の人も女の人も平等なんです!力づくなんて、まかり通らないんです!」


面白いことを言う。
男女を平等にするとは考えたことがなかった。


「…美蘭っ!落ち着け!」


「まあ良い秀吉。幸運をもたらす女に嫌われては敵わん。」
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