第2章 嘘つき者は小娘に恋をした〜光秀〜
光秀は、紅音を抱くように支えていた。
「本当の名前を教えてくれませんか?」
「光秀だ。明智光秀だ。」
「そうだったんですね。」
紅音にとって最期の笑みだろう。
「光秀様……」
「光秀で良い。」
「光秀……、私を殺してください。」
と紅音は言ったのであった。
光秀は、無理だ、と言った。
「なぜですか?私は織田を裏切った大名の娘ですよ?」
「それは…俺がお前のことを愛していたからだ!!」
光秀は言ってしまったと思った。だけど、後悔はなかった。
紅音は、赤くなって
「光秀、私もあなたのこと愛していました……。」
光秀は、目を見開いた。
とその時
グサッ
「紅音!!」
紅音は、短刀で自分の心ノ蔵のところさした。
そして、口から血を吐く。
「み、……みつひで……わたしに……こいを……おしえて……く……れて……ありが……とう。」
「お願いだ。紅音、死なないでくれ…。」
紅音は事切れた。
光秀は、紅音の亡骸を持って湖の近くに掘った穴に入れようとする。
「紅音……。」
光秀は、愛した女の亡骸に口づけをした。そして、穴に埋める。
(紅音……さらばだ。だが、今度会えた時は、俺の妻となってくれ…。)
光秀は、そんな未来を考えて紅音の墓に願った。
そして、これから五年後。
光秀は、面白い女(日和)と出会った。
『嘘つき者は小娘に恋をした〜光秀〜』終