第1章 かげろうでいず〜家康〜
夏。
夏は、陽炎と言うものが出るらしい。そう、日和が言っていた。
陽炎って、なんだろう。
夏のある日。
家康は、自分の御殿の褥の上で座っていた。
家康は、日和と今日、城下町で遊びに行くことになっていた。
「早く起きないと。」
家康は、日和のために用意した簪を手に日和が待っている城下町のお団子屋のところへと向かった。
(同じところで住んでいるのに……なんで待合場所を決めるんだろう、日和は……まあ、可愛いけどね。)
家康は、足を急がせた。
「ここら辺で待ってるって聞いたけど……」