第12章 すれ違い〜政宗〜
私は、その声が聞こえた方に顔を向ける。
そこには
「今川……。」
私は、腰に隠れている短剣を持つ。
「竹千代の妹の確か……純恋?」
「あら、なんで知っているのでしょうね?」
私は、刀を抜こうとするが
「お嬢さん、こんなところでそんな物騒なものを出すんじゃないよ。」
と誰かに手を抑えられる。
「貴様は、甲斐の虎!?」
「おっと、騒がないで。お嬢さんのそんな美人な顔がダメになってしまうよ。」
ゾワッ
私は、一気に寒気が来る。
「じゃあ、ちょうどいいから謙信と佐助の土産として春日山に連れて行こうか。」
と今川は言う。
「離せ!」
私は、抵抗する。
だが、甲斐の虎は私の両手を後ろに組ませて逃げないようにする。
そして、別の男が出て来る。
「真田……。」
「ん?げ!徳川の妹じゃないか!?なんでいるんだよ!!」
「幸。女性にそんなことを言っちゃいけないよ。さあ、お嬢さん馬に乗って。」
私は、馬に乗せられる。