第12章 すれ違い〜政宗〜
兄上がいると思われる部屋に向かう途中庭の前を通った。
そこには、青い花が咲いていた。
(……。政宗様。)
私は、幼い時から政宗とよく一緒にいた。
兄上が人質として今川家にいた時、私も人質として伊達家にいた。
その時の伊達の殿様・政宗様の父であったため、娘のように育てられていた。その時に政宗様と会った。
私は、その青い花のところにしゃがみ込んで花弁を撫でた。
政宗様には、この小さな手より多くのことを教えてくれた。
料理、弓矢、剣……そして、恋を。
「純恋?」
と私を呼ぶのは、兄上であった。
私は、兄上のところに走る。
「失敗に終わってしまいました。」
「いや、あんた。何企んでいたの?」
兄上は、五百年後の世界で言うチョップをしてきた。軽めですよ。強かったら、私怒りますし。
と、今気づく。三成さんがいた。
「純恋様、久しぶりでございます。」
「三成さん、お久しぶりです。」
「純恋、こんな奴と喋ったらダメだよ。」
兄上は、本当に三成さんの事思ってるのですね(黒い笑み)。まあ、嘘だと思うけど。
私は、ひょいと二人と同じ高さの段に上がる。