第1章 かげろうでいず〜家康〜
(俺……死んだのか?まあ、日和が生きているならいいか……。最後にあんたを甘やかしたかった。)
「家康!!」
と声が聞こえる。
愛しい人の声であった。
家康は、ゆっくりと目を開ける。
「……!!家康!!」
「家康!!目を覚ましたか!!」
「家康様!!」
「家康!!大丈夫か!!」
家康を囲んで、日和、政宗、三成、秀吉がいた。
「みなさん?」
家康が起き上がろうとした時日和は、慌てて止める。
「家康……覚えてない?家康、崖から落ちたんだよ。」
(俺、奇跡的に怪我で済んだんだ。)
家康は、喜びが胸いっぱいに増えていった。
「心配しましたよ、家康様!」
「ああ、本当だ。」
と三成と秀吉が笑ってくれる。
「粥作ったから食えよ。」
と政宗が微笑む。
「家康、あんな無茶しないで、もう。」
日和は、目に涙をためていた。
家康は、指でその涙を拭き取る。
「ごめん、日和。みなさんご心配かけました。」
家康がそう言うとみんなは微笑んでくれた。
このお話は、
俺と日和の身に起きた本当の話であった。
日和が言っていた『陽炎』と言うのは、あの猫のことだったのだろう。
俺は、日和を死なせない。
だけど、俺も死なない。
そしたら、日和の涙は誰が拭き取るんだ?
それは、徳川家康……この俺だけだ。
日和、愛してるよ。
かげろうでいず〜家康〜終