第1章 Prologue
『あの…』
「ねぇ、いいじゃん?ほら、デート行こーよー」
さっきからこの男の人に絡まれている。
……まぁ、最初から話そう。
事の発端は先週である。
私はあの男の人から"告白"というものをされた。
告白の時に初めて話したし、相手の事がよく分からなかったのもあり少し怖かった為、断ったのだ。
...がだ。
彼は何故かその日以降よく私の前に現れるようになった。
しかも歳上。
何をされるのか分からないし怖くて今まで逃げたり、曖昧に誤魔化してきたりしたのだ。
そして今は......
誤魔化すネタも無くなってしまって壁に追いやられた状態。
しかも教室とか廊下とかなら未だしも人があまりいない屋上でだ。
...最悪。
『私、帰りたいんです。退いて貰えませんか......』
「じゃあ、俺送るよー?」
そして全然退かない。
「ほらー、帰りたいんでしょ?送るって言ってるじゃん、行こ?」
終いには私の手をつかんできた。
...何これ、本当に無理。
『やだっ、ちょ、離してっ』
「ほらっ、早く早くっ」
私の言葉を完全に無視しているそいつはぐいぐい私の手を引っ張っている。結構痛い。
『痛いっ、離してってば!だ、誰かっ、助けてっ』
誰もいるはずない屋上で叫んだ私の願いは......
赤い瞳をした銀色の髪の男の子によって叶ったのだった。