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ヘタレとハートの愉快な仲間達

第2章 こんにちは





あれよあれよという間に何故かハートの海賊団の潜水艦内に詰め込まれた訳だが(解せぬ)、目の前にはほら見ろ長いだろと言わんばかりに足を組んでいるトラ男が鎮座していた。

「こういうの逆トリップって言うんですよ!キャプテン!!」
「知らねぇよ」
「ちゃんと面倒見るんでうちの船に乗せましょう!」
「元の場所に返してこい」
「こんないたいけな美少女を置き去りにしろってですか!キャプテンの人でなし!!」
「人でなし結構。あと、そいつヨダレの跡ついてるぞ。」
「俺はヨダレの跡も可愛いと思います!!」
「お前の性癖には興味ねぇよ」
「ひでぇ!!」
「安心しろ、嫌悪感はある」
「もっとひでぇ!!!」

なお、この間にも「あの、」とか「ちょっと」とか「私の意見は?」とかちょこちょこ言葉を挟んでみているのだが、一向に聞いてくれる気配はない。よだれの跡は早めに教えて欲しかったけど今はそれどころじゃない。
あの!!!私の意見は!!!!!



「お前、名前は」
「てめぇが先に名乗れよ」
「キリちゃんんんん!!?」

座っていて私より目線の低いはずのトラ男がオーラ的にこちらを見下してくるその姿に腹立たしさを覚えるのは何も間違った事ではないと思うの。人に名前聞く時は自分が名乗れってクロッカスさん言ってたもんね。キャスケット帽子が謝れとか何とか言ってるけど、私、引かないもの。名前知ってるけど、気に食わないもの。意地でも先に名乗ってやんないんだから。

「そうか、残念だ。今のがお前が言葉を出せる最後の機会だったんだが、……な」
「止めておけ、死人が出るぞ」
「……おもしれぇ、誰が死ぬって?」
「私です。はじめまして、三井希里です。よろしくお願いします。」
「名乗ったー!!!!!!!!」



キャスケット帽子が一体何をそんなに驚いてるのか理解出来んね、私には。自己紹介は大事なマナーだ。断じてトラ男の殺気に怖気付いたわけではないし、刀に手をかけた「DEATH」刺青いりの手とか見てないんだから!!!!!!!





「キャプテン!海軍が来た!!」

人生2度目の死を覚悟した瞬間に、勢いよく開け放たれた部屋の扉。何やら賑やかな外の音と一緒に入ってきたのは、悪い知らせを携えた白熊だった。





【こんにちは、癒し】

それと、波乱の予感。







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