第2章 ココロの休息
「おいリヴァイ!いくらお前でも敬礼はしろ!」
「そうだ!いくらお前でも敬礼ぐらいは覚えただろ?」
彼女の代わりに先輩兵達がリヴァイを注意する。
だが、相変わらずのつり上がった三白眼で相手を睨み殺すような態度。
普段は比較的温和な兵達だが、自分達が信頼し尊敬する上官のアゲハへの非礼は許せなかったのだろう。
その態度はなんだ、とリヴァイに詰め寄る。
『まぁまぁ。ソーマもヤハナジも落ち着いて。』
「ですが!!」
『リヴァイ、どうして敬礼しないの?恥ずかしい?』
言われたリヴァイは小さく舌打ちをした。
決して恥ずかしいわけではない。
何となく、他の兵達が当たり前にする敬礼を自分がしていいのか、自分もするべきなのか、と疑問に思う事はある。
「答えろよ!」
『まぁまぁソーマ、そう怒らない。』
苦笑いをしながらリヴァイと二人の間に自分の身体を割り込ませた彼女は小さく溜息をついた。
『私もね〜しなかったよ、敬礼。する様になったのはエルヴィンと親しくなってからだし、今も私はしないときはしないよ。』
だから、と続けた彼女はリヴァイの方へと向き直る。
『無理に敬礼しろとは言わないよ。でもしない理由が恥ずかしいからならそれはダメ。そうじゃないなら、いつかリヴァイがちゃんと覚悟が出来てからでいいと思う。』
「アゲハ分隊長!」
『だから、ね!ソーマもヤハナジも、ちゃんと自分なりの覚悟が出来たらでいい。形式的にしてるなら、それは本当の敬礼にはならないからね。』
はい、この話はここまで。
パンパンと手を叩いて切り替えをつけた彼女は、今から行う訓練についての説明を始めた。